諸富徹
本書は、私たちが税金を「義務」として捉えがちな現状に対し、税を民主主義における「権利」として再認識することを促す。世界と日本の税制の歴史的発展をたどりながら、近代国家における課税権力の正当性や、経済のグローバル化がもたらす現代の課題を考察。納税者が主体的に税の使途を選択し、社会を変えるための仕組みとして税を捉え直す視点を提供する。
諸富徹は1968年生まれの経済学者。京都大学大学院経済学研究科で博士号を取得後、現在、京都大学大学院経済学研究科教授を務める。専門は財政学と環境経済学。主な著書に『環境税の理論と実際』、『私たちはなぜ税金をおさめるのか――租税の経済思想史』、『グローバル・タックス - 国境を超える課税権力』など多数。
大学の教養科目くらいの知識があると読みやすい
本書は、現代日本において税金が「お上から取られるもの」という意識が根強く、納税への抵抗感が強いという問題意識から出発する。これは、市民革命を経験した欧米諸国と異なり、日本が「上からの」税制改革を重ねてきた歴史的経緯に起因すると指摘。経済のグローバル化が進む中で、国家の課税権力が国境を越える資本移動に対応しきれず、税負担の不平等化が進むという現代的課題に応答し、民主主義における納税者の主体的な役割を再定義しようと試みる。
市民革命期のイギリスにおける税制変革
近代国家において、税が君主の恣意的な徴収から市民の同意に基づくものへと転換した歴史的契機。本書の第2章で、所得税の誕生やアダム・スミスの国家論と関連付けて論じられる。
19世紀ドイツの財政学の発展
国家と市民の関係性、社会改良としての税金の役割といった、税の哲学的な側面が形成された時期。日本の近代税制思想にも影響を与えた点が、第2章で解説される。
アメリカにおける所得税の恒久化とニューディール税制
公平課税を求める「下から」の税制改革の動きや、大恐慌後の経済危機に対応するための政策課税の挑戦として、税が社会変革の手段となり得ることを第2章で示す。
明治維新後の地租改正
日本の近代国家形成期における主要財源の確立と、年貢から金銭納付への移行という、日本の近代税制の出発点。本書の第3章で詳細に扱われる。
第二次世界大戦後のシャウプ勧告
戦後日本の税制の基礎を築き、直接税中心の税制の骨格を形成した重要な転換点。本書の第3章で、現在の税制につながる経緯として言及される。
悪税が日本を滅ぼす : 元国税調査官が暴露する不公平税のからくり
大村大次郎
本書は、税の基本的な仕組みや役割を批判的な視点から概観しており、税を「義務」として捉えがちな現状を理解する上で、対象書籍を読む前の入門書として適切です。
大淵三洋
対象書籍が扱う「税制の歴史的発展」や「近代国家における課税権力の正当性」の理解に必要な、財政学の基本的な概念や思想史的背景を学ぶための入門書として適しています。
経済のグローバル化の進展
国境を越える資本移動や多国籍企業の活動に対し、国家の課税権力が直面する現代の喫緊の課題。本書の第4章で、国際課税のあり方やグローバル・タックスの必要性が論じられる。
情報処理学会会誌編集委員会
ユーザーが「税の基本的な仕組みや役割を概観する入門書を探す」という意図で検索した本であり、税の基礎的な理解を広げるための入門書として選定しました。
諸富徹
対象書籍のテーマである「経済のグローバル化がもたらす現代の課題」に直接関連し、著者の諸富徹氏によるグローバル・タックスに関する専門的な考察を深める発展書として最適です。
デジタル時代の税制改革 : 100年ぶりの国際課税改革の分析
諸富徹、諸富徹、篠田剛、江波戸順史、中嶋美樹子、吉弘憲介、松田有加、辻美枝、金山知明、宮本十至子
対象書籍の「経済のグローバル化がもたらす現代の課題」の中でも、特に最新の「デジタル時代の税制改革」と「国際課税改革」に焦点を当てており、現代の税制課題を深く理解するための発展書として適切です。
ウェルビーイングと財政 = Well-being and Public Finance
日本財政学会、馬奈木俊介、諸富徹、持田信樹、畑農鋭矢、小川顕正、星合佑亮
対象書籍が提唱する「納税者が主体的に税の使途を選択し、社会を変えるための仕組み」という視点に対し、税の使途が社会のウェルビーイングにどう貢献するかを考察する発展的な議論を提供します。諸富徹氏も著者の一人です。